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グローバルな証券会社が日本の国内顧客を獲得するには

本書では、日本の国内ファンドの高い期待に応えることで、ブロードリッジがグローバルな証券会社の日本国内ビジネスの成長を支援している事例をご紹介します。多くの海外証券会社が、証券保管振替機構(JASDEC)の決済照合システム(PSMS)にタイムリーかつ効率的で最適化された方法でデータを提出するという課題に直面しています。

大手欧州証券会社の日本の業務部門責任者のコメント:「ほふりを通じた、日本のお客様に対する取引報告書(売買報告データ)のタイムリーな提出は必要不可欠です。ブロードリッジはVIP約定処理キューなどの利便性の高い機能を提供しており、国内取引を遅滞なくPSMSに提出することが可能になっています。セルフサービスレポーティング機能で自動化することにより、オペレーショナル・リスクを軽減し、業務の効率化を図ることができます。未決済のモニタリングのような手作業の繰り返し作業も簡単に行うことができます。ブロードリッジのJASDECプロセッシング・ソリューションを使用することで、ミスを防ぎ、限られた決済時間内に確認が必要な決済取引先を特定することができます。また、決済プラットフォームの総所有コストを大幅に削減することもできました。」

課題

証券会社は、最終顧客からの特に厳しい要求への対応に迫られる場合があります。日本の多くの運用会社は、JASDECのPSMSに送信したデータを受領するにあたり、厳しい要件を課しています。

多くの場合、現地時間の午後4時までに確定した取引データを受領することを要件としています。取引相手の信託銀行は午後5時にファンドの価格を公表するため、ファンドの基準価値(NAV)を計算する時間を確保する必要があるからです。

証券会社がファンドの締切要件を満たせない場合、バイサイドの顧客の中には、ファンドの厳格なタイムラインを順守しなかったことに対する罰として、その証券会社に「ラインカット」、すなわち注文停止をかける場合があります。これは、一定期間その証券会社への注文依頼を停止し、事実上その証券会社の収益を奪うことを意味します。実際、日本のある資産運用会社は、コネクティビティ関連システムに投資していない外資系企業に対しては、サービスの質の悪さを理由に、取引を検討することさえしません。

証券会社がファンドの運用会社に確定取引データをタイムリーに提供することを妨げるもう一つの要因としては、第三者清算モデルとしてトランザクション・バンクに処理を委託することが挙げられます。

取引サービス銀行・モデルを使用する場合、証券会社は取引データを、Swift ISO 15022 MTメッセージまたは取引サービス銀行が要求する独自のフォーマットで、取引サービス銀行に送信します。その後、取引サービス銀行はそれを JASDEC PSMS フォーマットに変換させ、システムに送信します。

データがSwift経由で送信される場合、Swiftはメッセージの送信を保証しているものの、取引サービス銀行へデータを送信する速度は保証していないため、処理全体が遅延してしまう可能性があります。JASDECのPSMSにどれだけ迅速にデータが送信されるか確証されていないのです。PSMSの照合サイクル中に誤ったデータの修正が必要になった場合、取引サービス銀行はデータの再処理よりも受信した他の指示を優先して行うため、リスクは一段と高まります。しかし、ファンドが設定している締切時間(午後4時)が変更されることはないのです。

取引サービス銀行独自のフォーマットを使用することは、このような日本特有のインターフェイスを維持するためのコストと労力という欠点があります。期限通りにデータをファンドに送信するという課題の他に、取引サービス銀行はコスト・モデルにおいても大きな欠点があり、通常、ファンドから得られる手数料は損なわれてしまいます。このモデルは取引件数が非常に少ない場合には有効ですが、取引件数が増え始めると、一般的に取引当たりのモデルはコスト対比の点でうまく機能しません。ブロードリッジのモデルを使用することで、顧客は大幅なコスト削減を実現することが可能です。

今後予定されている市場の変化も、現在の処理にストレスを与える可能性があります。2024年11月、日本では取引時間が午後3時30分まで延長され、証券会社が取引配分と確認を処理し、そのデータをJASDEC PSMSに送信する時間は実質的に30分短縮されます。

解決策

ブロードリッジのJASDECプロセッシング・ソリューションを使用することで、証券会社は最終顧客に、JASDEC PSMSにタイムリーにデータが届くという確実性を提供することが可能になります。

ブロードリッジは、証券会社から取引データを受領してから2分以内にJASDEC PSMSにデータを送信するというサービス・レベル契約(SLA)を顧客に提供しています。

取引はブロードリッジのコア・トランザクション処理エンジンを通過し、さまざまな検証やエンリッチメント処理が行われ、決済に必要な追加情報が追加されます。その後、取引データは照合のためにJASDEC PSMSプラットフォームに送信されます。

JASDECのPSMSを通過した後、取引データはファンドの信託銀行(カストディアン銀行)に送られ、最終処理が行われます。

ブロードリッジは、情報の欠落または不正確な場合に限り、誤った取引の送信を保留します。このプラットフォームは、取引のライフサイクルを管理するための洗練された処理依存ツリーを備えており、JASDECに必要な重要な処理が失敗した場合にのみ送信を保留し、JASDECにできるだけ早くデータを送信し、その後ファンドの信託銀行/カストディアン銀行に確実に送信します。

このシステムは非依存的なので、他の取引処理エンジンを使っている証券会社でもブロードリッジのJASDECプロセッシング・ソリューションを使うことが可能です。ブロードリッジはこれをスタンドアローンのソリューションとして提供可能で、証券会社はブロードリッジのAPIを使って自社のプラットフォームとリンクさせることができます。

その他の特徴

ブロードリッジは、証券会社に2分間のSLAを提供するだけでなく、証券会社がどの顧客の決済を優先させるかを選択できる受渡優先順位付けロジックも開発しました。市場から一部決済が発生した場合、どの優先順位をつけた顧客が先に取引を受け取ることになるかを選択できるようになります。これにより、特に要求の厳しい顧客からの決済のフェールの可能性を本質的に減らすことが可能です。

ブロードリッジは、特定の属性に基づいて顧客の優先順位を決定するアルゴリズムを使用しており、証券会社は、どの顧客を優先するかを決定するランキングを設定でき、これはいつでも変更可能です。このソリューションのウェブ上のユーザー画面は英語と日本語の両方で利用可能で、海外からもアクセスできるため、ユーザーのグローバル・リソースを最適に活用することが可能です。

そして最後に、ブロードリッジの顧客は東京にあるブロードリッジのデータ・センターを利用することで、社内システムのコストを削減し、業務で使用している他のシステムへの簡単なデータ・インターフェースを活用できるというメリットがあります。

背景

JASDECは2001年、取引後の照合プロセスを自動化することで、決済リスクを軽減することを目的に、決済照合システム(PSMS)を導入しました。それ以前は、日本では、機関投資家は手作業(ファクシミリや電話など)で、約定配分、約定確認、約定決済などを行っていました。

PSMSは、標準的なデータ・メッセージ・フォーマット、ネットワーク、コードを使用して開発されたストレート・スルー処理システムです。現在のPSMSは、ISO 20022ベースのメッセージ、証券を識別するための国際証券識別番号(ISIN)コード、および取引や決済のための取引先などの参加者を識別するためのビジネス識別子コード(BIC)に対応しています。

日本の国内ファンドの場合、特にファンドの基準価額を算出・公表する際、T+0の午後の早い時間に取引照合を完了させることは、投信運用をめぐる業務フローにとって非常に重要です。

ブロードリッジのJASDECプロセシング・ソリューションの詳細については、日本営業部長の山田修嗣(shuji.yamada@broadridge.com)までお問い合わせいただくか、または日本語のウェブサイト(https://www.broadridge.com/jp/resource/jasdec)をご覧ください。

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