2022年7月28日
議決権電子行使プラットフォームへの参加状況
2022年6月末時点において、株式会社ICJ(株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。)及びブロードリッジ・フィナンシャル・ソリューションズとの合弁会社)が運営する「議決権電子行使プラットフォーム」(以下「プラットフォーム」といいます。)へ参加する上場会社が1,738社(前年度比+499社、東証全上場会社3,770社のうち46.1%)、国内機関投資家が47社(同+15社)となりました。
東証プライム市場の上場会社は1,610社(社数ベースで87.6%、時価総額ベースで98.2%)が参加し、また、スタンダード市場及びグロース市場の上場会社はそれぞれ104社、24社が参加しています。(「別添1」1.参照)
本年6月の株主総会におけるプラットフォームの利用状況
本年6月、東証上場会社2,306社(前年度比▲14社)の株主総会が開催されましたが、そのうち1,218社(同+310社)がプラットフォームに参加し、総議決権数に対するプラットフォーム参加株主の保有割合は平均で36.0%でした。なかには保有議決権数の割合が総議決権数の83.2%を占める会社も見られました。
また、海外機関投資家については、外国法人の議決権総数に対するプラットフォーム参加株主の保有議決権数の割合は平均で81.0%となっており、参加会社からも「外国人株主の議決権行使はほぼプラットフォーム経由」との評価を得られています。
他方、国内機関投資家については、今年度大きく増加したプラットフォームで直接指図をする投資家とは別に、資産管理信託銀行もプラットフォームを利用して議決権行使を行っています。結果として、株主名簿上位に登場する信託口名義のほとんどがプラットフォーム経由での議決権行使となっています。(「別添1」2.参照)
ICJのこれまでの取組み
株式会社ICJは、プラットフォームの運営を主な事業内容として2004年7月に設立されました。設立後10年間は上場会社のプラットフォームへの参加は500社未満でしたが、2015年にコーポレートガバナンス・コードが施行されたことや、2016年の経済産業省株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会においてプラットフォームの利活用が提言されたことなどから、プラットフォームに参加する上場会社と国内機関投資家の数は年々増加しました。そして、2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂によりプライム市場上場会社について更なる利用促進が求められたことなどから、その動きは一層加速し、国内外機関投資家の議決権行使環境は大幅に改善しました。プラットフォームは、約18年を経て、文字どおり日本の資本市場の重要なインフラの一つになりました。(プラットフォームの概要は「別添2」参照)
ICJは、世界中の市場において各国のコーポレートガバナンスを強化し、株主の民主性を高めるという、ブロードリッジの各国市場に対するコミットメントの一つです。ブロードリッジのインフラストラクチャーはグローバル・コミュニケーションのハブとして、何千もの上場企業や投資信託を世界中の何千万もの個人投資家や機関投資家と結びつけることにより、より高水準のコーポレートガバナンスと投資家のスチュワードシップを可能にしています。
プラットフォームの利用メリット
プラットフォームは、上場会社の株主総会プロセスにおいて、紙と郵便が電子に代替され、関係者の実務が大幅に効率化しただけではなく、株主総会に関わる関係者をネットワークでつなぐことで、企業価値向上に資する的確な議決権行使に必要な時間の確保と情報受発信の機会を上場会社と機関投資家双方に提供し、株主総会の直前まで両者の建設的な対話の実現を促進するものです。なお、プラットフォームに参加する投資家の議決権行使の途中経過について上場会社が把握できるのは、日本独自の仕組みとなっています。
参加者
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プラットフォーム参加のメリット
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上場会社
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・行使状況を早期に把握
・行使状況を踏まえた追加の対応が可能(例えば、 議決権行使助言会社の推奨レポートに対する補足文書の発信・開示など、株主総会直前まで上場会社から機関投資家への情報提供ができる)
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機関投資家
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・招集通知の早期入手
・集中する議決権行使業務の平準化
・従来に比べ議題の検討と行使の期間を長く確保できるため、上場会社からの補足文書などの追加情報を踏まえ、より充実した情報に基づく議決権行使が株主総会直前まで可能
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ICJ及びブロードリッジの今後の取組み
ICJ及びブロードリッジは、株主総会の実務関係者をつなぐインフラとして、上場会社のみならず、機関投資家を含めた関係者の皆様のニーズを踏まえ、双方の対話支援につながる多様なサービスを充実させ提供・展開し、株主総会プロセス全体のデジタル化促進を通じて、日本の資本市場の競争力強化に貢献してまいります。引き続き、皆様のご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
ICJ代表取締役社長の今給黎成夫は、「議決権電子行使プラットフォームの参加上場会社が1,700 社に達したことは、大変喜ばしく、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードが浸透し、健全な対話に基づく議決権行使に十分な期間を確保したいと考える上場会社と機関投資家が日本においても確実に増えている証と言えます。これまでの関係者の皆様のご支援に深く感謝申し上げるとともに、当社は引き続き、株主総会プロセス全体のデジタル化を通じて、企業と投資家との効果的な対話、関係者の業務の効率化、関係者への価値あるサービスの提供を実現し、日本の資本市場の競争力強化と豊かな社会の発展に貢献してまいります」と述べています。
ブロードリッジ・フィナンシャル・ソリューションズ 銀行・ブローカー・ディーラー向けインターナショナル・ソリューションズ部門マネージング・ディレクターのデミ・デレムは、「ブロードリッジは、上場会社や投資家のために業界の変革を導くべく革新的なデジタル技術を提供することで、日本の議決権電子行使の成長に貢献できていることを誇らしく思っています。日本市場における連携を通じて、上場会社や投資家の更なる参加、市場の透明性向上、上場会社と投資家間のコミュニケーションや議決権行使に係る基準の設定の促進を引き続き図ってまいります」と述べています。